民法1 判例六法

投稿者: | 2020年12月6日

★今日の問題★
次の記述の正誤を答えよ。

Aが死去し、子であるBとCが共同相続人になったが、遺産分割を行う前に、相続財産の一つである甲不動産の全部について、Bが単独名義の登記を済ませたうえで、自らの債権者であるDへの債務を担保するために甲不動産に抵当権を設定した。この場合において、BはDに対して、自らの持分を超える持分についての抵当権が無効であると主張することができる。

10秒で考えよう。よーいドン!

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★今日の解説★

 間違い。
 設問と同様の事例で判例は、抵当権の無効を主張することが信義則に照らして許されないとしている。

 甲が、不動産について、共同相続によつて持分しか取得しなかつたにもかかわらず、自己が単独相続をしたとして、その旨の所有権移転登記を経由したうえ乙と右不動産について抵当権設定契約を締結し、その旨の登記を経由したときは、甲は、乙に対し、自己が取得した持分をこえる持分についての抵当権が無効であると主張して、その抹消(更正)登記手続を請求することは、信義則に照らして許されない。(最判昭和42年4月7日)

※参考条文
(基本原則)
第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。