民法8判例六法

投稿者: | 2021年1月9日

★今日の問題★
次の記述の正誤を答えよ。

 団体としての組織をそなえ、多数決の原則が行なわれ、構成員の変更にかかわらず団体が存続し、その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理等団体としての主要な点が確定していれば、権利能力なき社団となるが、彼らの社団財産は、構成員に総有的に帰属し、脱退者に持分権、分割請求権はない。
 一方、権利能力のない社団の代表者が社団の名においてした取引上の債務は、社団の構成員全員に一個の義務として総有的に帰属し、構成員各自は、取引の相手方に対し個人的債務ないし責任を負う。

10秒で考えよう。よーいドン!

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★今日の解説★

 権利能力なき社団の成立と社団財産について述べている前文は正しい。
 次の二つの判例を確認しておこう。

 法人に非ざる社団が成立するためには、団体としての組織をそなえ、多数決の原則が行なわれ、構成員の変更にかかわらず団体が存続し、その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理等団体としての主要な点が確定していることを要する。(最判昭和39年10月15日)

 法人に非ざる社団がその名においてその代表者により取得した資産は、構成員に総有的に帰属するものと解すべきである。 (最判昭和39年10月15日)

 権利能力のない労働組合よりの脱退組合員は、その脱退が、組合分裂に基く場合であつても、当然には右組合に対し財産分割請求権を有しない。(最判昭和32年11月14日)

 一方、社団債務について述べている後段は、間違いである。社団債務は構成員全員に一個の義務として総有的に帰属するものの、社団の総有財産だけがその責任財産となり、構成員各自は、取引の相手方に対し個人的債務ないし責任を負わないとされている。次の判例の通りである。

 権利能力のない社団の代表者が社団の名においてした取引上の債務は、社団の構成員全員に一個の義務として総有的に帰属し、社団の総有財産だけがその責任財産となり、構成員各自は、取引の相手方に対し個人的債務ないし責任を負わない。(最判昭和48年10月9日)

問題を解きながら判例六法を制覇しよう!

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□ 判例の知識=語彙力

判例の知識は語学で言えば、語彙力に相当します。

法律の知識があるかどうか、実務家として仕事ができるかどうかは、判例の知識がどれだけあるかの差であるといえます。

語彙力は一朝一夕には、身につかないのと同様に、判例の知識もまた、一朝一夕には身につかないものです。

判例六法に掲載されている判例を一つ一つチェックして理解し、覚える。忘れたら、また繰り返すという作業が必要になります。

□ 判例を覚えるなら問題集が手っ取り早い

判例六法に掲載されている条文と判例を第一条から読んでいこうとしても、途中で眠くなったり、挫折しまうものです。

やはり、問題を解きながら、覚えるのが最も効率が良いものです。

このシリーズでは、一般的な判例六法に掲載されている重要判例のほぼすべてを問題化しました。

このシリーズを一通り終えてしまえば、一般的な判例六法を完全に制覇したことになります。

●著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

判例六法ラノベ化プロジェクト
小説を読む感覚で、隙間時間にすらすらと読めて、なおかつ、『ハイレベルな』教材を開発しようと集まったベテランの実務家(弁護士、司法書士、行政書士、宅建士等)と資格スクール講師の集団。日々、試行錯誤しながら、新しい教材を開発中!