判例民法問題2

投稿者: | 2020年12月6日

★今日の問題★
次の記述の正誤を答えよ。

 Aが死去し、子であるBとCが共同相続人になったが、遺産分割を行う前に、相続財産の一つである乙銀行の預金1000万円について、BがCの代理人を兼ねていると称して、乙銀行より全額の払い渡しを受けた。
 CがBに対して、自らの相続分である500万円の引き渡しを求めた場合、Bは、乙銀行による払戻しは民法478条の弁済として有効ではない旨主張して、これを拒むことはできない。

10秒で考えよう。よーいドン!

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★今日の解説★

 正しい。
 判例は同様の事例において、BがCに対して、乙銀行による払戻しは民法478条の弁済として有効ではない旨を主張することは、信義誠実の原則に反し許されないとしている。

 甲が、乙と共に相続した預金債権のうちの乙の法定相続分に当たる部分について何らの受領権限もないのに受領権限があるものとして金融機関から払戻しを受けていながら、その払戻しに係る金員について乙が提起した不当利得返還請求訴訟において、一転して、上記払戻しは民法478条の弁済として有効であるとはいえず、乙が上記金融機関に対して乙の法定相続分に当たる預金債権を有していることに変わりはなく、乙には不当利得返還請求権の成立要件である「損失」が発生していないと主張するに至ったなど判示の事情の下では、甲が上記主張をして乙の不当利得返還請求を争うことは、信義誠実の原則に反し許されない。(最判平成16年10月26日)

※参考条文
(基本原則)
第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。

(債権の準占有者に対する弁済)
第四百七十八条 債権の準占有者に対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。

問題を解きながら判例六法を制覇しよう!

民法

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□ 判例の知識=語彙力

判例の知識は語学で言えば、語彙力に相当します。

法律の知識があるかどうか、実務家として仕事ができるかどうかは、判例の知識がどれだけあるかの差であるといえます。

語彙力は一朝一夕には、身につかないのと同様に、判例の知識もまた、一朝一夕には身につかないものです。

判例六法に掲載されている判例を一つ一つチェックして理解し、覚える。忘れたら、また繰り返すという作業が必要になります。

□ 判例を覚えるなら問題集が手っ取り早い

判例六法に掲載されている条文と判例を第一条から読んでいこうとしても、途中で眠くなったり、挫折しまうものです。

やはり、問題を解きながら、覚えるのが最も効率が良いものです。

このシリーズでは、一般的な判例六法に掲載されている重要判例のほぼすべてを問題化しました。

このシリーズを一通り終えてしまえば、一般的な判例六法を完全に制覇したことになります。

●著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

判例六法ラノベ化プロジェクト
小説を読む感覚で、隙間時間にすらすらと読めて、なおかつ、『ハイレベルな』教材を開発しようと集まったベテランの実務家(弁護士、司法書士、行政書士、宅建士等)と資格スクール講師の集団。日々、試行錯誤しながら、新しい教材を開発中!