遺言書5 負債が多い場合は家庭裁判所で相続放棄の手続きを三か月以内に済ませよう

投稿者: | 2022年9月6日

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人が亡くなった時は、亡くなった方――被相続人の財産はその配偶者や子供――相続人に引き継がれます。

これを相続というわけですが、引き継がれる財産は銀行預金や不動産などのプラスの財産だけではありません。

被相続人が生前に完済できなかった借金やローンなどの負債も相続人に引き継がれることになるのです。

めぼしい財産がない。むしろ、借金やローンなどの負債の方が多いという場合は、相続によって、相続人は、負債を負ってしまうことになるのです。

何もしないで放っておいたとしても、親の負債なんて知らないからと白を切ることはできません。

むしろ、何の手も打たないと、自動的に法定相続が行われてしまい、知らぬ間に借金返済の催促が自分に寄せられることになるのです。

これを『法定単純承認』と言います。

親の負債を相続したくない。

そんな時は、はっきりと、自分は親の負債を受け継がないと公示する必要があります。

「相続放棄」の手続きを行わなければならないのです。

ここで注意したいことは、相続放棄の手続きは家庭裁判所のみでできるということです。

家庭裁判所での手続きと言うと大変難しいことのように思うかもしれませんが、そんなことはありません。

家庭裁判所の窓口に出向いて、「相続放棄」をしますといえば、係の人が相続放棄の申述書を出してくれるので、名前や住所などを書いて出すだけでいいのです。

費用は収入印紙800円分と連絡用の郵便切手があればいいだけですし、必要な添付書類も市役所で申請できるものばかりです。

一般的な添付書類としては、
被相続人の住民票除票又は戸籍附票
申述人(放棄する方)の戸籍謄本
被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

この三点だけです。

確実に手続きをしたいならば、代理人に頼まずに、自分で家庭裁判所に出向いて書類を書いて出すようにしましょう。

相続放棄の申請ができる期間は、相続人が相続開始の原因たる事実(被相続人が亡くなったこと)及びこれにより自己が法律上相続人となった事実を知ったときから3か月以内です。

ただし、相続財産が全くないと信じ、かつ、そのように信じたことに相当な理由があるときなどは、相続財産の全部又は一部の存在を認識したときから3か月以内に申述すれば、相続放棄の申述が受理されることもあります。

いずれにしても、確実なのは、亡くなってから3か月以内に手続きを済ませてしまうということです。

相続放棄に関してよくある間違いが一つあります。

弁護士などが用意した「相続分がないことの証明書」に署名して手渡せば、それで相続放棄したことになると勘違いしているということです。

「相続分がないことの証明書」というのは、相続人間の遺産分割協議において、自分は遺産の相続をしないと意志表示するものにすぎません。

プラスの遺産がある場合に用いるものであって、負債がある場合などは全く、意味のないものなのです。

※参考条文 民法

(相続開始の原因)
第八百八十二条  相続は、死亡によって開始する。

(相続開始の場所)
第八百八十三条  相続は、被相続人の住所において開始する。

(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第九百十五条  相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2  相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

第九百十六条  相続人が相続の承認又は放棄をしないで死亡したときは、前条第一項の期間は、その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から起算する。

第九百十七条  相続人が未成年者又は成年被後見人であるときは、第九百十五条第一項の期間は、その法定代理人が未成年者又は成年被後見人のために相続の開始があったことを知った時から起算する。

(単純承認の効力)
第九百二十条  相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。

(法定単純承認)
第九百二十一条  次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一  相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
二  相続人が第九百十五条第一項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
三  相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。

(相続の放棄の方式)
第九百三十八条  相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。

(相続の放棄の効力)
第九百三十九条  相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。